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コロナの収束時期が予測できない中、さまざまな業種で難しい経営のかじ取りを強いられている経営者のかたは多いと思います。
このような経営環境の先が読めず、激しく変化することが想定される状況においては、従来と同じことだけを続けているだけでは、ほとんどの業種において発展は難しいでしょう。
新しい戦略を作る必要がありますが、どのように考えを整理していったらいいのでしょうか?
本日は、新戦略の立案方法について整理したいと思います。
目次
コロナウィルスのまん延によって、経済環境が大きく変わりました。影響を受けていない業種はないと言ってもいいでしょう。
現在起こっている環境変化については、いかにポジティブに捉えられるかが成長のカギになると思います。
それよりも大切なことは、これからどのような環境変化が起こるかであり、その変化にどのように対応していくかだと思います。
しかし、今後の環境変化を読むことはとても難しく、どのような仮説を持つかで経営の仕方も大きく変わります。
重要な考察ポイントには下記のようなものがあると思います。
このように激しい環境変化が想定されるものの、具体的な変化の内容が読めない中、中小企業ではどんな対策をしたらいいのでしょうか?
とにかくリスクを最小限に抑えながら、新しい取り組みを始めるのがいいと思います。
リスクを抑えるために重要なことは、動く前にまず考えるということです。思いついた戦略をすぐに実行に移すべきではありません。
また、保有資源を最大限生かせる事業分野・テーマを選択するのが効果的でしょう。下記のようなことが考えられます。
つまり、今あるものや状況を活かして何かできることがないかを考えるということです。新しく何かをゼロから作りだすことではありません。まずすべきは、既存の資源をより効果的に使ってできることを考えることです。
上記のように、中小企業においては、リスクを最小限に抑えて新しい戦略を実行に移していく必要があります。
まずは考えることが重要です。
新しい戦略の方向性は様々だと思いますが、整理しながらアイデア出しをしていくといいでしょう。
新しい戦略を考えるときに参考になるのが、「アンゾフの成長マトリクス」です。
アンゾフの成長マトリクスは、1965年に出版された「経営戦略論」で示された成長戦略立案のフレームです。
事業領域を、商品分野と市場分野の2軸で表し、商品分野を「現商品」と「新商品」、市場分野を「現市場」「新市場」に分けたマトリクスで表現し、4つの戦略方向を示唆しています(図1参照)。
「①市場浸透戦略」は、既存客への既存商品の販売をより活性化する戦略です。
顧客層を絞りこんだり、商品を絞りこむことで、高い収益性や成長性を実現できないか考えるのも一つです。
中小企業は資源が限られています。
分散している経営資源を絞り込んだ市場や商品に集中して投下することが考えられます。
その他にも、既存商品の強化(機能向上や新機能、付随機能の追加など)や販路の拡大などが考えられます。
「②新市場開拓戦略」は既存商品を新しい市場(ターゲット)に販売する戦略です。
エリア開拓が一番わかりやすい市場開拓ですが、その他にも業界の顧客になっていない買い手(非顧客)のニーズにこたえた新たな市場の開拓や代替品となる業界の市場の開拓などが挙げられます。
サーカスのメイン顧客を子供から従来は非顧客であった大人、法人に移した「シルクドソレイユ」は市場開拓で成功した事例として有名です。ブルーオーシャン戦略としても有名ですが、これについては後日コラムで紹介したいと思います。
「③新商品開発戦略」は、既存客に新しい商品を販売する戦略です。
ゼロから新しい商品を作りだすのは難易度が高いですが、既存商品と同時にまたは前後に利用するような商品であれば開発の難易度は低くなる可能性があります。また、もともと持っているコア技術を活かした新商品の開発もうまくいく可能性が高いと考えられます。
「④多角化戦略」は、新しい商品を新しい市場に販売する方法です。
一般的には中小企業が取るべき戦略ではないと考えられます。リスクが高く既存の自社の強みが使えない可能性が高いからです。
M&Aによって、自社の経営資源を活かせるように多角化戦略を取ることは考えらえますが、難易度は高いと考えます。
限られた経営資源で、新しい戦略アイデアすべてを実行することは現実的ではなく、そのようなことではすべて中途半端に終わってしまうことになりかねません。そこで、出たアイデアを評価し、実行する戦略アイデアを絞り込む必要があります。
同じような戦略を取っている会社はないか?その会社はうまくいっているか?
また、財務シミュレーションによる採算の評価などを行い、実現可能性や採算などを評価します。
絞り込んだ戦略アイデアについて計画を立てます。
計画は行動計画と数値計画になりますが、数値計画は既存事業の計画とは分けて作成したほうがいいです。
計画を立てずに新戦略にチャレンジするのは無謀と言えるでしょう。特に先の読みにくい環境においては、リスクが高くなる可能性があります。立てた計画も随時見直す必要があります。実績との比較をしながら、最初は試験的に始めるべきでしょう。成果が出る見込みができてから大きく展開するのが、中小企業にとってはいいと思います。慎重に進める必要があります。
新戦略の立案は、ゼロから一を生み出すような創造的なものだけでもありません。中小企業においては特に、既存事業に関連させて、機能を絞り込んだり拡充したりしながら立案するものです。戦略アイデアが思いつかないのであれば、それはアイデア抽出のやり方が間違っているのであって、経営者の才能(創造力)がないからではありません。
ぜひ、上記で記載した「アンゾフの成長マトリクス」を使った戦略アイデア抽出法を試してみてください。きっと何か新しいアイデアが生まれると思います。
また、新戦略は、アイデアが抽出されただけでは実現しません。トライ&エラーを繰り返しながら、少しずつ形にしていくものです。その時に財務的な見識は必要不可欠です。その戦略の評価や計画立案において、財務の見識が必要になるからです。弊社では、「Brothership College」という集合研修を行っています。この研修では、財務の知識を基礎から学び、経営に活かす手法を身に付けることができます。また、戦略的中期経営計画を講座中に作ることができるため、その中で、上記新戦略についても、立案の支援をさせていただきます。
先の読めない経営環境だからこそ、新しいことにチャレンジする価値があります。ぜひ、「Brothership College」を受講いただき、新戦略の立案、実行に活かしていただければと思います。