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弊社では、2年ほど前から新卒採用にチャレンジしています。
会計事務所で新卒採用をしているところは限られるのですが、私たちは会計事務所こそ新卒採用すべき業種だと考えています。
今年度も超優秀層の採用に成功しました。本当に素晴らしいポテンシャルを持った方を採用できたと思っています。
会計事務所は学生から見たら不人気業種だと思います。どんなことをしている業種なのかさえ知られていないことが多いです。
そして、オックスフォード大学のオズボーン博士の論文「雇用の未来」の中で、「税務申告書代行者」はAI等の技術革新の影響で10年~20年で仕事がなくなる業種だと言われています。これは、将来税理士業の基幹業務がなくなるかもしれないということを指しています。
このような不利な外部環境において、なぜ私たちは新卒採用にチャレンジし、超優秀層の採用に成功しているのか。今回は、私たちの新卒採用の手法と私たちのような中小企業が新卒採用をする意義について書きたいと思います。
目次
会計事務所はプロフェッショナルが集まる組織です。新卒を採用するには敷居が高いように思います。確かに専門的な知識をゼロから教える教育体制を整えるのは大変なことですし、経験者を中途採用したほうが楽な側面もあります。
私たちも最初は中途採用で経験者を採用していました。
しかし、私たちは税務業務を土台にしていますが、お客様の成長に合わせた様々なサービスを提供している業界の中では特殊な事務所です。
このようなサービス形態をとっていますから、業界経験者が私たちの事務所に転職してくると、前職では経験していない業務をしなければなりません。
税務業務だけをやりたい人には合わない事務所です。
しかし、業界の中には、中小企業の経営者を本気で救いたいと考えている方が少なからずいらっしゃいます。そのような業界経験者の中で、コンサルティングに興味があり、私たちの事務所の理念やビジョン、ミッションに共感してくれる人材を採用することができました。
今では彼らが中心となって事務所を引っ張っていってくれています。
そして、事務所が成長軌道に乗り、規模が少しずつ大きくなってくると、このような経験者を採用することが難しくなってきました。
まだまだ、その時は知名度の低い事務所でしたので、募集をかけてもなかなか人が集まりません。また、そのころ採用難はどの業種でも叫ばれるようになっていました。
未経験者採用に踏み切ろう
若手でポテンシャルのある周辺業種の経験者を採用することができないだろうか?
会計事務所には興味を持っていなくても、中小企業の経営をご支援するコンサルティングサービスには興味を持つ若手は多いはずだ。
そう考えて採用活動を一から見直し、さまざまな取り組みをしました。媒体への記事投稿はもちろん、スカウト型やSNS形式のもの、特殊な採用媒体も使いました。
その結果、若手で本当に才能のある人材と出会うことができ、現在主軸となって働いてくれています。
未経験者の採用は、事務所にとって様々な変化をもたらします。教育の仕組みもまったくない状態で業務の標準化もできていませんでしたので、一から仕組みを作り、未経験者でも成果が出せる体制を作っていきました。
また、アシスタント(秘書)がコーディネートをして業務整理をすることで、担当者の負担を減らすことができたのも未経験者を育成できた大きな要因です。
現在も仕組みづくりは進行中ですが、このような取り組みの中で未経験者を育成できる環境を事務所に作っていくことができたのです。
新卒採用に踏み切れたのは、未経験から入社してくれた社員が、苦労しながら業務をこなし仕組化に協力してくれたことが大きいです。
新卒採用は、最初は媒体や合同会社説明会にブースを設けるなど、一般的な方法を取っていました。しかし、やはりそのような方法では、大企業に勝てるわけもなく、苦戦を強いられました。
そこで取り組み始めたのが長期インターンです。
私たちブラザシップグループは、会計事務所を母体としていますが、財務を軸にしたコーチングスタイルのコンサルティングサービスを主力サービスとしており(参照:コラム「会計事務所が提供するコンサルティングは効果的か?」)、知ってもらえれば必ず学生にも魅力を感じてもらえる会社だという自負がありました。
最初はバイト感覚で来てくれたとしても、職員が真剣に中小企業経営者を支援している姿を見れば、絶対に興味を持ってくれるはずだ。
狙い以上の効果がありました。長期インターンに来てくれた学生は、一緒に働くことで私たちのサービスの価値と面白さを知り、優秀な学生を採用することに成功しています。
長期インターンはうまくはまれば、私たち会計事務所のような不人気業種の中小企業でも新卒採用において絶大な効果を発揮します。しかし、実施するには、いくつか注意しなければならないことがあります。
私たちもそうでしたが、新卒採用に踏み切るのは大変な覚悟がいります。
社会人経験のない学生を採用するわけですから、初めは教育のためにお金と時間、多大な経営資源を投下しなければなりません。
しかし、新卒採用をするようになって感じることは、社内の雰囲気が大きく変わるということです。
教育負荷は大変なものですから、最初は既存社員の中にはネガティブな捉え方をしている社員もいたと思います。
しかし、実際に採用してみると、「しっかりしたところを見せないといけない」「彼らが活躍できるような舞台を組織に作っていきたい」といった前向きな言葉がたくさん聞かれるようになりました。
長期インターンで少しずつ既存社員も慣れていく状況を作ったこともよかったと思います。
そして、新卒採用した人材の成長スピードは本当に早いです。業務を細分化し標準化さえできていれば、即戦力化も可能だと思います。このメリットも長期インターンからの採用によってより大きく享受することができます。
また、優秀層をターゲットにすることでさらにこのメリットは大きくなります。中小企業こそ、優秀層をターゲットにすべきです。私たちも中小企業であり、不人気業種です。しかし、さまざまな工夫をすることで優秀層の採用に成功しています。工夫次第で必ず成果がでると思います。
人材の活性化は、中小企業にとっては重大な課題です。
新卒採用は、既存社員の活性化に多大な影響を与えます。そして、業務の細分化や標準化を進めるきっかけにもなります。そして、やり方次第で即戦力化も可能です。
確かに大きな覚悟を伴いますが、長期インターンからの採用など、中小企業に合った新卒採用の形があると思います。
また、学生にとっても、中小企業で働く選択肢を示すことは大変意義があると思います。大企業で最初は勤めるという判断も間違いではもちろんありませんが、経営者に近いところで責任のかかる仕事を早い段階からできる中小企業で働くことにも大変意義のあることだと思います。
ぜひ、勇気をもって新卒採用にチャレンジしていただくことをお勧めします。