コラム
2020.08.28
弊社代表松原が会計人向けニュースメディア「KaikeiZine」にて連載をしているコラムを掲載しております。
前回のコラムは、私たちの採用方針や求める人財について述べた。今回は、より具体的な手法についてお伝えしたい。会計事務所の採用活動に何かしらの気づきが提供できれば幸いである。
私たちは一年中、自社にマッチする人財を探し続けている。採用環境は良いとはいえず、自分たちが欲しいタイミングで欲しい人財がちょうど転職活動しているという確率は決して高くない。必要になってから慌てて探しても遅いのである。求職者が動き始めるタイミングは私たちにはコントロール不可能であり、コントロールできることは出会いの幅を広げるために通年採用することである。時には人件費が先行することもあるが、それは必要な投資である。
大手求人広告は過去には実施したこともあったが、ここ5年以上はやっていない。なぜならば、成果を出すのが非常に難しいと判断したからである。求人広告は予算規模が大きい大手が圧倒的に有利であり、我々のような中小企業の広告は埋もれがちだ。応募がこなくてもそれなりのコストがかかる。また、一度に複数人採用するわけではないことから、1人当り採用コストは下がらない。
その代わりに人材紹介会社から多くの人財を採用してきた。成果報酬型であり、採用するまでコストは発生しない。確かに成果報酬は高額になるが、確実であり、会計事務所経験者を採用するには最も適している。人材紹介会社から自社に適した人財を紹介してもらうために、努力していることがある。それは、自社を良く知ってもらうことだ。まず、自社に特徴があることが大前提になる。私たちの場合、経営支援型という特徴がある。そして、事務所のビジョンや戦略を人材紹介会社に伝えることが重要だ。私たちは年に1回経営計画発表会を開催しているが、そこに人材紹介会社の方々をご招待している。経営計画発表会ではスタッフが中心となってプレゼンをするが、人材紹介会社から採用したスタッフが活躍し生き生きとプレゼンをしている姿を見てもらえると、非常に安心を感じてもらえると思う。そして、欲しい人物像を明確にすること。断る場合は、なぜ見送ったのかのフィードバックをできるだけ詳細にすること。紹介してもらった求職者には誠実に対応し、仮に弊社に合わなくても面接で何かの気づきがあるような情報提供を心掛けている。
若手のポテンシャル採用には、スカウト型、いわゆるダイレクトリクルーティングを行っている。スカウトメールをその人によって変更するなど、手間暇をかけることが重要である。
今力をいれているのが、リファラル採用だ。自社の社員に知り合いを紹介してもらう採用方法だが、私たちはもう少し広く、社員だけでなく社外のアライアンス先も含めた範囲で実施している。実際に、保険会社からの紹介や、顧問先の融資相談にのってくれていた銀行員を採用できた実績がある。リファラル採用の利点は、コストがかからないことは言うまでもないが、それ以上に理念共感型人財が採用できることが最大の利点だと考える。類は友を呼ぶ、であり、自社を良く分かっているスタッフやアライアンス先からの紹介は、自社にマッチする人財である可能性が高い。さらに、全員が採用に関心を持ち関わっていくことより一体感が生まれる。リファラルで採用した人財のほうが、入社後の融合も早い。
面接時は、求職者に質問をして人物像を知るのと同じくらいの時間をかけて、私たちの事務所概要をお伝えしている。私たちの事務所はミッション、ビジョンが明確で個性的であり、万人に合うわけではないと思っている。説明を聞いて合わないと感じたなら早めに辞退いただいた方がお互いにとって良い。誰が優秀かよりも、誰が自社にマッチするかが重要なのである。
面接は複数人で行う。一人による主観、思い込みを排除するためである。採用は最重要事項であることから、名古屋と東京の代表二人の目を必ず通すようにしている。
適性検査は複数の種類を使い分けており、必ず実施している。これも主観や思い込みを排除するためだ。自分の目を過信してはならない。たった数時間の面接時間でその人の全てが分かるはずがない。そのため、適性検査の結果であるデータに基づいた判断をするようにしている。合否判定の半分を占めるぐらい重要視している。既存スタッフとの相性も分かるので、入社後の配属や配置転換にも適性検査を活用している。
オフライン面接であるが、withコロナの環境下では必要な技術となった。私たちも試行錯誤中である。一次面接はオンラインでも可能だが、最終面接では必ずリアルで会うことにしている。やはりその人特有の空気感というものがあり、それは会ってみないと分からない。
かく言う私たちも、過去には採用で大きな失敗をしてきた。迷ったけど採用してしまったこと、スキル重視で採用したこと、自分の目を信じすぎたこと。その時採用した人たちは、もういない。失敗は最高の学びになる。もちろん最後は採ってみないと分からないが、最善のプロセスをふむことは重要だ。結果、試用期間で辞める人は稀にいるが、それを過ぎたら離職が全くない組織になった。メンバーは、ブラザシップを代表である加藤松原の事務所ではなく、自分たちの事務所と感じてくれている。そんなメンバーが頼もしく、心から尊敬し、これからも同じ船に乗った家族として人生を共にしていきたい。
会計事務所経験者で経営支援がやりたい人はあまりいないと言われているが、私は絶対にいると確信している。ともに会計事務所の新しい未来を作っていける人財と出会えることを楽しみにしている。
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