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経営計画書を作成しても、あまり効果がないと思われている経営者の方は多いのではないかと思います。
理由は様々だと思いますが、下記のようなことをおっしゃる方が多いでしょうか。
その他にも理由はあると思いますが、代表的なものはこんな感じじゃないかと思います。
それぞれ詳細に見ていきます。
目次
これは、「目標」と「予測」を混同していることが原因です。
高校球児が、「最後の大会で甲子園に行く!」と目標を立てたとします。本気で目指しているなら、どんな練習をしたらいいか計画を立て実行し、練習試合を繰り返しながら自分たちの現状を把握して、さらに計画を見直し実行するのではないかと思います。
何かの「予測」を当てるために計画を立てていたわけではなく、「目標」をかなえるために計画を立てるということです。
経営計画は、経営者が思い描く理想の状態、経営理念をかなえるために作るものです。そのためには、そのマイルストーンとして、期限付きの「目標」を設定する必要があり、この目標を達成するために経営計画を作るのです。「予測」通りにするために計画を作るわけではありません。
甲子園を目指す高校球児と同様、経営においても将来の結果はわからなくて当たり前です。だからこそ、目標を立て、それをかなえるための計画を作成し、定期的に計画を見直しながら、目標達成を実現するのです。将来のことがわかっていたら、逆に経営計画はいらないと思います。
上記1で書いたように、目標達成のために計画を立てるわけですから、当然に状況に応じて計画の見直しは行われます。
計画は予測を当てるために作るわけではないので、その通りにならないことがあって然るべきです。なぜ、計画通りにいかなかったのか、動けなかったのか、やりきれなかったのか。その原因を突き止め、将来の計画を見直し軌道修正をかける。これによって目標達成の確度が上がっていきます。経営計画は都度見直すものであり、そもそも想定通りにはいかないものです。
確かに現状のままでいいのであれば、目標を立てる必要もなく、そのため計画を作る必要はないかもしれません。
しかし、このようなことが言える会社は、取り巻く環境が相当安定しており、競業もなく、関連する技術革新などの代替品の恐怖もない、とても稀な会社だと思います。
経営は環境適応業と言われます。環境が激しく変化する昨今においては、「現状のまま」の「成果」を出したいということであれば、何かしらの成長目標は必要で、そのための計画も必要になると思います。衰退を前提として経営を考えない限りは、経営計画が必要になるでしょう。
これは経営計画作成に対する重要感がないために言われることです。
経営計画を作る時間は、それが直接的に売上や利益を生むことにはなりません。営業で走り回ったり、社員を直接的に鼓舞するような時間の方が意味があると思われる方も多いと思います。
しかし、短期的にはそれでよくても、先のことを何も考えずに目先の成果を追って走っていては、重要な課題に取り組むことができず、衰退は免れないでしょう。
経営計画を作成する時間は、明るい未来を創造する時間です。経営者にとって最重要な時間と言えるでしょう。確かに緊急性がないため、後回しになりがちです。だからこそ、経営計画を作る機会を取れるかどうかが会社の行く末を決める重要な要素となることをご理解いただきたいです。
上記をご理解いただくと、経営計画書を作る動機ができると思います。
しかし、経営計画書を毎年作られている会社でも、本来の機能を発揮できている計画書は稀です。
これは、経営計画が戦略的に策定されていないからです。
「計画が知的な遊びに終わっていることが多いことに気づいた。計画をきれいに綴じて棚においている。それだけで素晴らしいことを行なった気になっている。
たしかに計画はつくった。しかし、実際に行なわないかぎり、何も行なったことにはならない。こうしたことから、私は戦略という言葉を使いはじめた。」
「戦略とは、何をするかではなくて、何をやらないかを決めることである」
ピーター・ドラッカー
ドラッカーが言う通り、やらないことが決まらなければ、やることも決められません。中小企業は特に、経営資源が限られています。
戦略的にやることを絞って取り組む計画を立てなければなりません。
戦略を考えていないから、経営計画書が絵に描いた餅になってしまうのです。
(参照:コラム「会計に強い会社は業績がいい!?」)
戦略はどのように決まるのか?
それは経営理念によって決まります。そもそも何を成し遂げたくて経営をしているのか。この経営理念をかなえるためには、どんな戦略を取るべきなのかを考えるのです。そして、ビジョンを策定し、現状分析し、外部環境への適応を踏まえて戦略を立案します(下記、図1参照)
この思考の結果を計画書に落とし込み、期中に見直しながら運用することで、効果的に経営計画書の機能が発揮されます。
とはいうものの、戦略立案はとても難易度が高く、また、計画書は財務の知識がないと作成することは難しいです。
中小企業は会社内部にこのようなことができる専門家(財務の専門家)は通常いません。したがって、外部専門家の協力を得ることが得策でしょう。
経営計画書の作成支援ができる会計事務所もあります(参照:コラム「会計事務所の選び方」)。
ぜひ、顧問税理士にお問い合わせいただき、戦略的な経営計画書を作成してください。
また、経営計画を作るためのアプリ(弊社で推奨しているアプリ:マネッジボード)もありますので、利用されるとさらに効果的な経営計画書の運用ができるかもしれません(参照:コラム「中小企業のDX化と会計事務所の役割」)。
私たちBrothershipも経営計画書の作成支援を行っています。何かわからないことなどありましたら、お問い合わせいただければと思います。
ぜひ経営計画書を経営に活かし、さらなる飛躍を図ってください!