2023/08/18
クラウド会計とは?その機能、メリット、選び方を徹底解説!
はじめまして。私たちはクラウド会計導入に強い税理士法人ブラザシップです。
本記事ではクラウド会計の導入で何が変わるのか、その具体的な機能やメリット・デメリット、選び方について徹底解説します!
目次
クラウド会計とは?
クラウド会計とは、クラウド上にデータを持ち、インターネットブラウザやアプリからログインして操作する会計ソフトのことです。インターネットへの接続環境さえあれば、いつでもどこでも使えるのが特徴です。日本では「freee会計」、「MFクラウド」、「弥生会計オンライン」の3つのサービスがシェアの大部分を占めています。
従来の会計ソフトとの違い5選
クラウド会計と、従来のインストール型会計ソフトとの大きな違いは以下の5点です。
1.場所や端末を選ばずに使える
従来の会計ソフトはソフトウェアをインストールしたPCからしか使えませんでした。クラウド会計なら、クラウド上にデータがあるので、24時間いつでも、事務所や自宅のPC、スマホやタブレット等の様々な場所や端末から利用可能です。
2.同時利用できる
従来の会計ソフトの場合、経理担当者の入力中や、税理士の監査中には会計ソフトを利用できないことがありました。クラウド会計なら同時利用が可能なので、経理担当者や税理士の利用状況に関わらず、自分が見たいタイミングで経営数値を確認できます。
3.OSを問わない
従来の会計ソフトは使えるOSが限られており、Microsoft Windowsでしか操作できないソフトがほとんどでした。クラウド会計ならOSを問わないため、MacOSを搭載したPCや、iPhoneやAndroid等のスマートフォン・タブレットからでも利用できます。
4.いつでも最新版が使える
日本では毎年のように税制改正があります。従来の会計ソフトでは税制改正やその他アップデートのたびに、最新版のシステムを手動でインストールする必要がありました。クラウド会計ならそれらの作業は一切不要。いつでも最新版のシステムが使えます。
5.バックアップの手間がかからない
従来の会計ソフトでは、PCの故障や災害、盗難等のリスクに備えて、定期的にUSBメモリやCD-ROM等の外部媒体にデータをバックアップする必要がありました。クラウド会計ならクラウド上にデータが保存されるため、バックアップ作業は不要です。
クラウド会計の特徴的な機能3選
クラウド会計ならではの特徴的な機能としては、以下のようなものがあります。
1.銀行やクレジットカードの取引明細を連携できる
クラウド会計では、インターネットバンキングやクレジットカードの取引明細を自動連携できます。その結果、インターネットバンキングやクレジットカードに1つ1つログインして、取引明細を取得して、会計ソフトに取り込んで…という経理の作業を大幅に削減できます。
2.レシートや領収書をスマホ撮影で取り込める
クラウド会計には、スマートフォンやスキャナで撮影したレシートや領収書を自動で読み込む機能もあります。レシート画像から日付や店舗名、金額、消費税率等の情報を自動で読み取ってくれる機能です。さらに、freeeなど一部のクラウド会計では、インボイスの登録番号が実在するかを照会し、自動判定してくれる便利な機能もあります。
3.POSレジや経費精算システム等の業務ソフトとも連携できる
クラウド会計には、POSレジや請求書発行システム、経費精算システム等の業務システムと連携できるものもあります。業務システムとの連携により、入力の手間をさらに削減し、経理業務を効率化できます。
クラウド会計のメリット・デメリットは?
続いて、クラウド会計のメリット、デメリットについて解説します。
クラウド会計の5つのメリット
クラウド会計を導入するメリットは以下の5点です。
メリット1)経理の知識がなくても使いやすい
クラウド会計の多くは簿記の知識が無くても入力できるよう工夫されているので、経理知識のない個人事業主の方や、これまで税理士に記帳をお任せしていて初めて自社で入力を行う中小企業でも取り組みやすいと言えます。
メリット2)入力作業を大幅に削減できる
クラウド会計ではインターネットバンキング、クレジットカードとの連携や他の業務ソフトとの連携により、入力作業が大幅に削減できます。実際、従来の会計ソフトからクラウド会計に乗り換えた結果、経理時間が2分の1以下になったお客様事例も多数あります。
メリット3)ケアレスミスを減らせる
経理の現場では「50円合わずに2時間調査する!」のようなことが頻繁に起こります。そのほとんどは「数字の転記ミス」が要因です。クラウド会計なら自動連携や自動読み取り機能により、転記作業が減少するので、ケアレスミスの発生を最小限に抑えられます。
メリット4)タイムリーに経営数値を見られる
クラウド会計は入力作業が少なく、ミスも減るので、月次決算が早く締まり、経営数値をタイムリーに確認できます。さらに、紙の試算表では分からなかった数字の中身をワンクリックで深堀りできるのも嬉しいポイント。資金繰りを可視化したり、豊富な経営レポートが用意されているソフトもあります。
メリット5)経理のリモートワークも可能
経理の人材確保は中小企業の大きな課題です。クラウド会計を導入することで経理のリモートワークが可能になります。もちろん、信頼できる方に限られますし、紙の書類もあるため出社も必要ですが、例えば、経理担当者が子育てや介護中の場合には、週に何日かリモートワークを導入することで、長く働き続けてもらえる可能性が高まるでしょう。
クラウド会計の5つのデメリット
メリットが多数あるクラウド会計ですが、デメリットや注意点はあるのでしょうか?ご質問いただくことの多い5つのポイントについて解説します。
デメリット1)動作が遅い
約10年前にクラウド会計が登場した頃は「動作が遅い」と言われましたが、現在では大幅に改善しています。通信環境自体が年々よくなり、YouTubeやTikTokなどの動画サービスも一般的になる中、数字データを扱うクラウド会計でストレスを感じることはほとんど無くなっています。
デメリット2)セキュリティ面が不安
「大事なデータをクラウド上に保存するのは不安だ」という声も聞きますが、クラウド会計ソフトの多くは金融機関と同等のセキュリティを整備しています。絶対に安全とは言い切れませんが、従来の会計ソフトではPCの故障や盗難・災害でデータが消えるリスクもあることを考えると、クラウド会計の方がデータを安全に保管できるとも考えられます。
デメリット3)インターネット環境が必要
クラウド会計ソフトの利用にはインターネット環境が必要です。インターネットに繋がらない場所や、通信環境の悪い場所でソフトを使う可能性がある場合には注意してください。通信環境が心配な方はクラウド会計の無料体験版で動作を確認すると良いでしょう。
デメリット4)ランニングコストがかかる
従来の会計ソフトは最初にソフトウェア代金を購入して利用します。一方クラウド会計は毎月利用料を支払うので、ランニングコストがかかります。そのため、「会計ソフトは長く使うので、クラウド会計は高くつくのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、従来の会計ソフトも一度購入して終わりではなく、税制改正や不具合対応等で毎年バージョンアップされるので保守加入や買い替えが必要です。さらに、クラウド会計は経理を大幅に効率化し、人件費の削減効果もありので、人件費も加味すると、クラウド会計で効率良く記帳する方が結局コストは安く済むと考えられます。
デメリット5)使いこなせる税理士が少ない
最大のデメリットは「クラウド会計を使いこなせる税理士が少ないこと」です。
税理士の平均年齢は60歳以上と高く、約8万人の税理士登録者に対して、「freee会計」の認定アドバイザーは約2,000事務所、「MFクラウド」の公認メンバーは約2,600事務所に留まります。さらに、これらの事務所も個人事業主や小規模法人に強いところが多いので、「売上1億円以上の中堅クラスの法人」の場合、対応できる事務所がさらに絞られると想定されます。この点がクラウド会計導入の一番のデメリットだと考えます。
税理士法人ブラザシップは全国でも数少ないfreeeの5つ星アドバイザーを取得しております。 また、売上1億~10億円規模の法人に特化した会計事務所でもあります。 クラウド会計の導入でお困りの方は是非一度ご相談下さい。
クラウド会計ソフトが合う会社、合わない会社はある?
「クラウド会計ソフトは業種によって向き不向きがある」、「クラウド会計ソフトは○○な会社にはおすすめしない」等の意見を耳にした方もいるかも知れませんね。そこで、クラウド会計が合う会社、合わない会社についても解説しておきます!
クラウド会計が合わない会社はほとんどない!
はじめにお伝えしておきたいことは「クラウド会計が合わない会社はほとんどない!」ということです。クラウド会計は従来の会計ソフトの進化系ですので、クラウド会計が合わない会社というのは基本的にありません。ただ、現時点ではまだ開発が追い付いていないため、不便を感じる業種もあるかと思います。 以上を踏まえて、クラウド会計が向く会社、向かない会社についてご紹介します。
クラウド会計が向かない会社
現時点ではクラウド会計が向かないと考えられる会社は以下の2点です。
1.学校法人、NPO法人等の決算書類が特殊な法人
学校法人、NPO法人、社会福祉法人、農事組合法人等の特別な法人の場合、決算書類の体系や科目構成が一般と異なるため、クラウド会計では対応していない場合があります。クラウド会計各社により対応が異なりますので、特殊な法人の場合は、十分に情報収集して導入しましょう。
2.インターネットバンキングの利用に抵抗感がある方
インターネット上に銀行口座を持つことや、インターネット上で会計データをやり取りすることに抵抗感がある方もまだ多くいらっしゃいます。特にインターネットバンキングの利用に抵抗がある方の場合には、クラウド会計のメリットがほとんど享受できないので、導入はお勧めしません。
クラウド会計が向く会社
上記の2点に当てはまらない会社であれば、クラウド会計を導入することができますが、特に向いているのは以下のような会社です。
1.創業したばかりの個人事業主、法人
これから創業する方や創業したばかりの個人事業主・法人であれば、敢えて従来型の会計ソフトを選ぶメリットはほとんどないので、クラウド会計が向いていると考えます。
2.会社の成長に伴い、自社で経理の入力を行いたい法人
これまで税理士に記帳をお任せしていた会社で、「部門別の収支を知りたい」、「もっとタイムリーに数字を見たい」等の理由で、会計ソフトの導入を検討している場合にも、クラウド会計がお勧めです。クラウド会計は経理初心者にも使いやすく、少ない人数で効率的に入力できますので、初めて自社で経理・入力する会社に向いていると言えます。
3.紙やExcel中心のアナログなやり方を刷新したい会社
社歴が長く、紙やExcelが残るアナログな経理方法を刷新したい会社にもクラウド会計がお勧めです。導入の難易度はやや上がりますが、大幅な業務効率化を実現できます。
よくある誤解
最後に「クラウド会計が向かない会社」に関して”よくある誤解”についても解説します。
よくある誤解①現金取引が多い会社には向かない
「クラウド会計は現金取引の入力が不便なので、現金取引が多い会社には向かない」と言われることがありますが、これは誤解です。現在ではクラウド会計の現金取引の入力画面も大幅に改善しており、従来の会計ソフトとほとんど変わりません。
また、一口に「現金取引」と言っても、「①現金売上」と「②現金払いの経費」の2つがあります。「①現金売上」が多い場合、レジとクラウド会計を連携することで入力を効率化できるかも知れません。「②現金払いの経費」が多い場合、経費精算制度の導入や、口座振替・クレジットカード払いを増やすことで、手入力の手間を減らすことも考えられます。
このように様々なやり方がありますので「現金取引が多いからクラウド会計には向いていない」と判断してしまうのはもったいないことです。
よくある誤解②中堅法人は経理が複雑なので向かない
「クラウド会計は個人事業主や小規模法人向きで、経理が複雑な中堅法人には向かない」と言われることもあります。しかし、中堅、中規模法人こそクラウド会計のメリットを享受でき、非常に喜ばれます。
中堅法人には「経理をきっちりしたい」と考える優秀な経理担当者が多く、沢山の確認資料を用意するなどして経理のやり方が複雑になっています。それらの業務を1つずつ整理して、クラウド会計に置き換えていくことで、大幅に効率化できる場合が多いのです。
実際、私たちの事務所では売上1億~数十億円規模の法人に特化して200社以上の導入実績があります。経理が複雑と言われる建設業や製造業、運送業にも多数導入しています。導入の難易度が高いのは事実ですが、適切なパートナーがいれば、必ず導入できます。
クラウド会計ソフトの選び方は?
ここまでの解説で「クラウド会計ソフトを検討したい」と考えてくださった方へ、クラウド会計の選び方やおすすめのソフトについても簡単に解説します。
選定ポイントと注意点
クラウド会計ソフトの選定にあたっては、以下の3つのポイントに着目しましょう。
1)費用
初期費用や月額利用料をチェックしましょう。
クラウド会計では、何人で使いたいか/どんな経営レポートを見たいか/電話やチャットサポートを受けられるか等の違いで、複数の料金プランが設定されています。
特に法人向けプランの場合、内容やオプション等の仕組みが分かりにくいことがあり注意が必要です。営業担当者に見積を依頼するのも良いでしょう。
2)機能・操作性
どのクラウド会計ソフトを選んでも、基本的な機能は揃っています。機能一覧で比較するよりは、無料体験版等で実際の操作性や使いやすさを確認すると良いでしょう。
特に①請求書発行や経費精算との連携、②経営レポート、③部門管理等の機能はクラウド会計ソフトにより仕様や操作感が異なりますので、これらの機能を重視する場合は、よく注意して選びましょう。
3)サポート体制
クラウド会計によってサポート体制はかなり異なります。特に個人事業主や小規模法人で税理士に依頼せず、自社で入力する場合には、電話サポートがあると安心でしょう。
また売上1億円以上の中規模法人の場合、経理が複雑になるので導入時のサポート体制も重要です。顧問税理士がクラウド会計の導入に不慣れな場合、クラウド会計の営業担当者に相談すると、社内の導入支援チームや、その地域で導入支援に強い税理士を紹介してもらうこともできます。
おすすめのクラウド会計ソフト
以上の選定ポイントや注意点を考慮し、私たちがおすすめするクラウド会計ソフトは「freee」です。ここではfreeeの特徴とおすすめ理由についても簡単に解説します。
freeeとは?
freeeは法人向けシェアNo.1のクラウド会計ソフトです。会計業務を行う「freee会計」に加え、「人事労務freee」、「申告freee」等のサービスもあります。
freeeをおすすめする4つの理由
私たちがクラウド会計の中でもfreeeをお勧めする理由は以下の4点です。
1.直感的に使えて分かりやすいデザイン
freee会計は他のクラウド会計と比べてデザインが洗練され、直感的に使うことができます。専門用語もほとんど使わない設計なので、初めて自社で経理を行う方でも安心です。
2.経営レポートが充実
freee会計には取引ごとに「タグ」を付けるという独自の機能があります。タグを活用することで、取引先別、店舗別、部門別、商品別、担当者別…など多様な切り口で経営を分析できます。さらに複数のタグを組み合わせたクロス分析も可能です。
3.経理業務全体の効率化ができる
一般的なクラウド会計は「入力作業を効率化」するだけですが、freee会計を活用すれば、「経理業務全体」を効率化できます。経費精算、債権管理、債務管理、請求書発行…はfreee会計で管理可能。freeeの導入で経理全体の効率化を実現できます。
4.費用もお手頃
freee会計は法人プランで月額2,980円~利用可能です。(2024年7月現在)
なお、MFクラウドや弥生会計オンラインもプランによってはfreeeより安い場合があります。しかし、「freee会計」の利用料にはタグ機能、経費精算機能、請求書発行機能、債権債務管理等の機能も含まれるため、単純比較はできません。
MFクラウドや弥生会計オンラインも素晴らしいサービスですが、私たちの事務所ではお客様により利点の多い「freee会計」をお勧めしています。
税理士法人ブラザシップはfreeeの5つ星アドバイザーを取得している全国でも数少ない会計事務所です。 freeeを導入したいけれど、切り替え作業や操作方法に不安がある等、導入に当たってお悩みやご不安をお持ちの方は、お気軽にご相談下さい。
まとめ
今回の記事では「クラウド会計とは?その機能、メリット、選び方を徹底解説!」というテーマで解説しましたが、いかがでしたでしょうか。クラウド会計やfreeeに関するお悩みは、ぜひ私たちブラザシップにご相談ください!最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
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この記事の監修者
税理士法人ブラザシップ
[東京オフィス]
代表社員/
公認会計士・税理士 松原 潤
大手監査法人、トヨタ系ベンチャーキャピタルを経て、2014年、共同代表の加藤と共に税理士法人ブラザシップを設立。売上高1億円〜30億円規模の中小企業に特化した経営支援型の会計事務所として400社以上の経営支援に携わる。経営支援の全国大会では3度優勝。近年はクラウド会計freeeの導入支援に力を入れ、freeeの5つ星認定アドバイザーとして、200社以上への導入、freee主催セミナーでの登壇、freeeの社内研修で弊社支援事例が使われる等の実績多数。
この記事の執筆者
税理士法人ブラザシップ
[名古屋オフィス]
マーケティング事業部
マーケター 渡邉 美沙子
会計ソフトメーカー勤務を経て、2018年に税理士法人ブラザシップに入社。入社後4年間は税務顧問やfreee導入支援、財務コンサルティングを担当。育休復帰後、「ブラザシップやfreeeの魅力を多くの方に伝える人になりたい」と希望し、2022年にマーケティング事業部を立ち上げ、専任となる。現在は主にクラウド会計freeeに関するウェビナー企画や導入事例記事、コラム等の執筆を行う。